輸入される乳製品はチーズその他で、オーストラリア、ニュージーランド、EUからの輸入でほとんどを占めている。バター、脱脂粉乳には高い関税がかけられているため、国産品で賄っている。
http://www.maff.go.jp/www/counsil/counsil_cont/tikusan/kikaku/dai5_siryo/sanko2.pdf
牛乳が生産過剰で乳牛を処分する生産調整までしたのにもかかわらず、翌年にバターの原料が不足し、農水省は増産方針に転じる。バターは国産から製造されているからだが、元々牛乳・乳製品全体の自給率は52
〜70%程度に過ぎなかったから、生産過剰とは言えなかったのである。国産の余った分をチーズその他の乳製品の製造にまわせばよいとも考えられるが。。
国産のコメが生産過剰であるのにコメの輸入を義務付けられる等の問題にも共通するものがある。国産のチーズ、生クリーム等も120万トン製造されているが、チーズその他は輸入した方が安いからだと考えられる。
下の資料によれば乳製品の国際価格は上昇している。
http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/nri0811re2.pdf
中国では牛乳にメラミンを混入することが行われている。タンパク質の多い牛乳ほど高く売れるのだが、牛乳中のたんぱく質の量を推定する際に窒素の量を測定する方法が用いられる。メラミンを混入すると窒素の量を増やすことができる。中国製の乳製品も輸入されて問題になった。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/10/h1030-1.html
下の資料によれば、牛乳の消費量は減少している。
http://www.danone-institute.gr.jp/nutrition/MMvol.28-3.html
牛乳・乳製品の消費・生産量を増やそうとしていた頃の日本(昭和三八年)
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaz196301/b0013.html
当然のことながら、学校給食にも牛乳が導入される。
その当時(昭和三九年)出された文部科学省による通達である。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19640831001/t19640831001.html
「昭和三九年八月三一日
各都道府県教育委員会および知事あて
文部事務次官・農林事務次官通達
学校給食用牛乳供給事業の実施について
第一 方針
わが国酪農の健全な発達を図るとともに幼児、児童及び生徒の体位、体力の向上に資するため、酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律(昭和二九年法律第一八二号)に基づいて定める学校給食供給目標及び学校給食供給計画数量に即して、国内産の牛乳を学校給食用に年間継続して計画的に供給するものとし、その供給の実施に当たつては、この要綱の定めるところによるものとする。
(3) 幼児、児童及び生徒一人一日当たりの供給量は、幼児及び児童にあつては二〇〇ccを、生徒にあつては三〇〇ccを、それぞれ基準とすること。
第一〇 助成
畜産振興事業団は、毎年度、予算の範囲内において、この実施要綱により行われる学校給食用牛乳供給事業について、当該供給事業を行う者に対し、その経費の一部を補助するものとする。」
文部科学省による「給食に牛乳を強制していない。過去にも強制はしていない」はウソだったことになる。
http://www.nomuralaw.com/tokushu/subfile/kakuronbunrui/kakuron/Chusho/Nochiku.html
http://alic.lin.go.jp/
平成8年、畜産振興事業団は蚕糸砂糖類価格安定事業団と統合し独立行政法人・農畜産業振興機構となった。役員20名中8名が天下りである。(農林省6、大蔵省1、林野庁1)
「統合前と統合後では、職員数(212人から208人)、役員数(25人から20人)、事業内容ともさしたる変化・見直しがなく、リストラとはほど遠い状況である。役員など、職員数208人に対し20人という多さである。また、当事業団の子会社・関連会社の数は公表数において197と異常に多い。
平成9年10月6日号の「AERA」はこの事業団の実態をレポートしている。旧畜産振興事業団の流れを引き継ぐ業務には、畜産業者等への出資、補助金供与があるが、牛肉自由化以前は輸入牛肉売買の差益収入だった財源は、自由化後は牛肉輸入時の関税を当事業団が独占することとなったが、事業団はそれを161法人に出資し、また関連業者や団体に800億円程度の補助金を出している。しかも出資先法人は6割ほどが恒常的な赤字に悩み、結果的に事業団は含み損を抱えている状態という。
当事業団の子会社・関連会社の経理内容についてはもちろん、補助金交付の相手先についても情報公開は全くなされていない。」
関税は税金だから国庫に入れて国民のために使うべきなのだが、この事業団が他の法人や関連業者、団体、会社に出資しているという。
牛肉の関税が高すぎると牛肉の輸入量は少ないだろうから、関税による収益も少ないと思われる。ある程度関税を引き下げたほうが、牛肉の輸入量も増え関税による収益も増える。こうして得られた関税による収益は、税金として国庫に入り国民のために使われるのではなく、この事業団が勝手に使っていると言う。
国内の畜産農業・農家がどうなろうが、あるいは食糧自給率がどうなろうが、ある程度関税を引き下げて牛肉の輸入量を増やした方が、この事業団にとっては得ということになる。
給食利権に関する過去記事
http://urayamaneko.seesaa.net/article/114696770.html
http://urayamaneko.seesaa.net/article/68432370.html
その他の資料
http://narc.naro.affrc.go.jp/keiei/jiyukenkyu/milk2.pdf
http://www.dairy.co.jp/milkdata/j_data05.html
http://www.dairy.co.jp/milkdata/j_data13.html
http://www.dairy.co.jp/milkdata/j_data12.html
http://www.j-milk.jp/expertise/db/hb2004/data/rreport/001/1-2-2.html
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19640831001/t19640831001.html
http://www.dairy.co.jp/milkdata/j_data13.html